
痔は、直立歩行を始めた人類の宿命ともいえる病気です。
症状が出ないものまで含めると、成人の半数以上にみられるといわれています。
症状が出ないものまで含めると、成人の半数以上にみられるといわれています。
おしりの解剖図

肛門括約筋 | 肛門をしめている筋肉 |
静脈叢 | 静脈が網目状にひろがっているところ |
歯状線 | 直腸(粘膜)と肛門(皮膚)のさかいめ |

【ミニ知識】
ヒトはみな痔主
ヒトはみな痔主
痔核は誰にでもあり、肛門を閉じるときのクッションの役割をしていると考えられています。ところが、これを支えている組織が弱くなるとクッション部分が大きくなって「病気」の仲間入りをするというわけです。

動物は痔にならない?
ヒトのおしりは四つ足の動物と違って心臓よりも低い位置にあるので、うっ血しやすくなっています。
おしりのうっ血が原因で起こるともいえる痔核は、ヒト特有の疾患といえます。
おしりのうっ血が原因で起こるともいえる痔核は、ヒト特有の疾患といえます。
1.痔核
痔核には、歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。普通、痔核というと内痔核をさします。
分類 | 主な症状 | ||
内痔核 | I度 | ![]() |
|
II度 | ![]() |
| |
III度 | ![]() |
| |
IV度 | ![]() |
| |
痔核の急性期 | 血栓性外痔核 | ![]() |
|
嵌頓痔核 | ![]() |
|

【ミニ知識】
内痔核のできる位置
内痔核のできる位置
上直腸動脈が枝分かれしたところ、つまり肛門を時計にみたてると3時、7時、11時の位置にできます。
(図:上側が腹部、下側が背部)
(図:上側が腹部、下側が背部)

内痔核は痛くない?
外痔核は痛覚のある皮膚の部分にできるので痛みをともないますが、内痔核は痛覚のない粘膜にできるので痛くありません。ところが内痔核も程度が進んでくると、肛門外に脱出し外痔核をともなうようになってきます。その結果、痛みが出てくるというわけです。
2.裂肛

裂肛になると排便時に痛むため、トイレを我慢してますます便が硬くなり、悪化することがあります。こうなると傷が慢性化して肛門潰瘍となり、肛門が狭くなってしまいます。そして、ますます便が通りにくくなり、傷がひどくなるといった悪循環を繰り返すことになります。
【主な症状】
- 排便時と、その後もしばらく痛みが続く。
- 出血は紙につく程度。
3.肛門周囲膿瘍・痔瘻

直腸と肛門のさかいめ、つまり歯状線の小さなくぼみから大腸菌などが入り込み、直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。
膿瘍(おできのようなもの)が切開されたり自然に破れたりすると、うみが出て直腸・肛門とつながったうみの管ができます。これを痔瘻といいます。
膿瘍(おできのようなもの)が切開されたり自然に破れたりすると、うみが出て直腸・肛門とつながったうみの管ができます。これを痔瘻といいます。
【主な症状】
- 肛門周囲の皮膚に出口ができて、うみが出る。
- 出口がなかったり、出口がふさがったりすると痛み・熱が出る。
痔疾患の頻度
痔疾患のうちの半数を占めるのが痔核です。裂肛、痔瘻はそれぞれ15%程度です。また、痔核はとくに男女差はありませんが、裂肛は女性に多く、痔瘻は男性に多くみられます。

社会保険中央総合病院大腸肛門病センターにおける外来統計(1960年~1991年)

【ミニ知識】
裂肛は女性に、痔瘻は男性に多い
裂肛は女性に、痔瘻は男性に多い
便秘は女性に多くみられるもの。硬い便などが原因で起こる裂肛が女性に多いのはこのためです。また、痔瘻は男性に多くみられますが、原因はわかっていません。
痔を予防するコツ
1.毎日おふろに入る

おふろに入るとからだが温まり、血行がよくなります。
また清潔にもなります。
おふろは一番の予防・治療法です。
2.おしりをきれいに

おしりを汚くしておくと、細菌が繁殖しかゆくなるなどの炎症を起こします。
排便後はできるだけきれいにしましょう。
排便後はできるだけきれいにしましょう。
3.便秘・下痢に注意

便秘をすると硬い便がたまって、肛門を傷つけることがあります。また排便のとき強くいきむため、肛門付近のうっ血をきたします。下痢は肛門を刺激し不潔にもなり、細菌感染を起こしやすくします。
4.トイレで強くいきまない

排便のとき強くいきむと、肛門のうっ血や出血をきたすことがあります。
また力仕事や過激なスポーツなども、肛門に負担がかかるのでよくありません。
5.腰を冷やさない

腰を冷やすと肛門の血行が悪くなるので、よくありません。
6.座りっぱなしはよくない

座りっぱなしや立ちっぱなしでいると、肛門のうっ血をきたすことがありますので、長時間のドライブなどは避けましょう。
ときどき軽く体操をして、血行をよくしましょう。
7.酒・胡椒・からしなどの刺激物はひかえめに

酒などのアルコール類・胡椒・からしなどは肛門を刺激し、うっ血をきたします。
できるだけひかえめにしましょう。
痔に悩むすべての方に向けてマルホがお届けする痔の総合情報サイト
お気軽にお問い合わせください
TEL.0745-67-0008 FAX.0745-67-1063
【診察時間】9:00~12:00、18:00~20:00 【休診日】日曜・祝日
【診察時間】9:00~12:00、18:00~20:00 【休診日】日曜・祝日